予測市場サマリー(6月23日)
本日も「予測市場サマリー」をお届けします。
中東情勢の落ち着きを受けて原油が一段と下がり、関連するオッズが大きく動いた一日でした。
米国株・日本株の見どころとあわせて、分かりやすくまとめます。
1. 本日のニュース
1.1. エヌビディア株が伸び悩み、予測市場では「AIチップの値下がり」に賭けが集まる
半導体大手エヌビディアの株価が、このところさえない展開です。
2026年の上昇率は約12%にとどまり、半導体株全体(VanEck半導体ETF)の約85%高に大きく見劣りしています。直近1カ月では約3%下げました。
これと歩調を合わせるように、予測市場のKalshiでは「エヌビディアのAIチップが提供する計算能力の価格は、5月の高値を超えない」とみる参加者が増えています。
主力GPU「B200」の1時間あたりの計算能力の価格は、5月30日に6.11ドルと直近3カ月の高値をつけたあと、6月21日には4.22ドルまで下がりました。
チップの値下がりは、エヌビディアの利益が伸びにくくなるとの連想につながりやすく、株価の重さと結びついて受け止められています。
出典:CNBC
1.2. 「選挙への賭けは違法にすべき」が最多、米世論調査で予測市場への逆風
予測市場をめぐる米国の世論調査で、選挙結果に賭ける行為を「違法にすべきだ」と答えた人が最も多くなりました。
Politicoが1,167人に聞いた調査で、44%が違法化を支持しています。
予測市場は選挙の賭けで一気に注目を集めてきましたが、世論には根強い慎重論があることがうかがえます。
こうした空気は、CFTC(商品先物取引委員会)や議会での規制論議を後押しする方向に働きやすく、選挙関連の市場を多く抱える事業者にとっては逆風になりかねません。
出典:The Hill
2. 予測市場の動向
2.1. 中東の和平に道筋、ホルムズ海峡の正常化を見込む確率が上昇し原油が下落
参照先:https://polymarket.com/event/strait-of-hormuz-traffic-returns-to-normal-by-july-31
① 本日動いたオッズ
中心になったのは、Polymarketの「ホルムズ海峡の通航は7月31日までに正常化するか」という市場です。
正常化するとみる確率が、前日の39.5%から48.5%へ上がりました。ちょうど五分五分の50%に近づいたところで、ここが見方の分かれ目になっています。あわせてKalshiの「米国とイランが年内に新たな核合意に達するか」も、41.5%から47.5%へ上がりました。逆に原油の先高観は後退しています。
Kalshiの「6月30日時点でブレント原油が1バレル約91ドルを上回るか」をめぐる確率は12.5%から3.5%へ下がりました。
② なぜ動いたか
スイスで開かれた米国とイランの協議が前進し、両国が60日間の和平の道筋で合意したと伝わりました。
仲介役を務めるカタールとパキスタンによると、最終合意に向けた工程と、停戦を見張る仕組みづくりで折り合ったとされます。あわせて米財務省が、イラン産原油の輸出を60日間認める一時的な措置を出し、原油の供給が早めに戻るとの見方が広がりました。
これを受けてブレント原油は6月22日に1バレル78ドル台まで下げ、前日比で約3%安、3月初め以来の安値となりました。
③ 米国株・日本株への影響
今回の震源は中東情勢で、株価に伝わる中心は原油です。
原油安が日本では電力やガス、空運、海運、化学などの負担を和らげ、米国では家計や消費に追い風になる一方で産油側にはマイナスに働く、という大枠は、このところ繰り返しお伝えしてきたとおりです。
今日はその原油が3月以来の安値まで下げ、和平の道筋が一段とはっきりした点が新しいところです。
米国では、原油安で利益が伸びにくくなる石油メジャーに逆風が表れやすく、逆に燃料費の負担が軽くなる航空や、ガソリン安が消費を支える小売には追い風になりやすい場面です。
日本では、原油をほぼ輸入に頼るだけに影響がより直接的に表れます。燃料費が下がる電力・ガスや空運、海運、原油を多く使う化学や紙の負担が軽くなる一方、資源を扱う商社や石油開発の会社には利益面で重しになりやすい面があります。
為替については、原油安は日本の貿易収支を改善し、円を支える方向にわずかに働きます。
ただし円相場は金融政策や米国の金利など別の要因にも大きく左右されるため、原油だけで方向を決めつけるのは難しいところです。
④ 注意事項
このオッズは中東情勢という共通の材料に反応した価格で、株価を先取りしているわけではありません。
原油安はすでに先物価格や関連株にかなり反映されており、ここからさらに同じ方向に動くとは限りません。60日間の道筋はあくまで途中段階で、停戦違反やホルムズ海峡の再封鎖の警告も出ています。
合意が崩れれば原油が再び上がる展開もあり得ますので、片方向に決めつけない見方が必要です。
2.2. その他の動向
米国の株価指数(ナスダック100・S&P500)が年内をプラスで終えるとの見方が小幅に後退しました。
ビットコインが6月中に大きく下げるとみる確率が下がり、下値への不安はやや和らいでいます。
6月の米物価をめぐる見方が小幅に変化し、前年比の上振れを見込む確率が低下しました。
3. 注目の声
3.1. カルシーの「規制の堀」とIPO観測
米国ではKalshiがCFTC規制下で市場シェア9割を握り収益を伸ばし、上場も視野に入る。一方Polymarketは世界市場とブロックチェーンで強いが、トークン配布などをめぐり評価が割れる、という整理です。
二社の立ち位置の違いを、規制と事業構造の面から手際よくまとめた投稿です。Kalshiの上場観測が業界の関心事になっていることがうかがえます。
3.2. オフショア勢が規制市場のシェアを奪うとの見方
地政学やスポーツの分野では、規制の外にあるオフショアの取引所がKalshiのような規制市場のシェアを奪いうる、という指摘です。CFTC規制の制約と、世界規模の競争の変化に目を向けています。
先ほどの「規制が堀になる」という見方とは逆の角度です。規制が守りになる面と、競争を縛る面の両方があるという、論点の分かれるところを映しています。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。また明日お届けします。
※本メールは予測市場のオッズや公開報道をもとにした情報提供であり、特定の銘柄・金融商品の売買を勧めるものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。





