予測市場サマリー(7月2日)
本日も「予測市場サマリー」をお届けします。今日はビットコインの反発を主役に、米国株・日本株への見どころを分かりやすくまとめました。
1. 本日のニュース
1.1. Cboeが「決算の数値」に賭けるオプションを申請
シカゴ・オプション取引所を運営するCboeグローバル・マーケッツが、企業の決算の数値に賭けられる新しいオプションの上場を米当局に申請しました。
株価そのものではなく、たとえばエヌビディアのデータセンター向け売上高やJPモルガンの貸倒引当金といった、会社が発表する個別の指標が一定の水準に届くかどうかで結果が決まる仕組みです。
対象は23社・100を超える指標にのぼります。
決算の中身を直接売買できる商品はまだ珍しく、予測市場の手法が伝統的な取引所にも広がってきたことを示す動きです。
上場している取引所自身が新しい収益源を探している点でも注目されます。
出典:Bloomberg
1.2. 予測市場の参加者「物価は5月にピーク」との見方
予測市場のカルシで取引する人たちの間で、物価の上昇は5月にピークを打ったという見方が広がっています。
6月にガソリンなどのエネルギー価格が下がったことが背景で、原油価格は中東の戦闘開始以来はじめて1バレル70ドルを割り込みました。
ホルムズ海峡の一部再開で供給の不安がやわらいだためです。
カルシの参加者は6月の消費者物価が前の月より0.2%下がると見ており、2026年に物価の伸びが4.2%を超える確率は3分の1以下とみています。
物価の落ち着きは金利の先行きを左右するため、株式相場全体にとって重要な手がかりになります。
出典:CNBC
1.3. ソラナ発の新しい予測市場「World」がファントムで開始
ソラナ上で動く新しい予測市場「World」が、暗号資産ウォレットのファントムの中で使えるようになりました。
利用者は別のアプリを入れなくても、ファントムの2,000万人規模の利用者基盤からそのまま参加できます。
ビットコインの値動きやサッカーのワールドカップの結果などに取引でき、決済や清算はすべてブロックチェーン上で自動的に行われます。
先行するポリマーケットやカルシに真っ向から挑む形となり、予測市場をめぐる競争がさらに激しくなってきました。
出典:CoinDesk
2. 予測市場の動向
2.1. ビットコインが6万ドルを回復、下落不安が和らぐ
参照先:https://kalshi.com/markets/kxbtcd
① 本日動いたオッズ
カルシの「7月3日午後5時(米東部時間)のビットコイン価格は?」という市場で、価格の見方が大きく上に動きました。
この市場は「◯ドル以上か」を刻みごとに問う作りで、今日はその全体がおよそ15〜20ptも上にずれています。中でも分かれ目になったのが「6万ドル以上」の節目です。ちょうど五分五分の50%を境に、前日の38.0%から本日は55.0%へと上抜けしました。
「6万ドルには届かない」という見方から「届く」という見方へ、一日でひっくり返ったことになります。
決済が明日に迫った短い市場なので、足元のビットコイン価格の動きがそのまま映し出されています。
② なぜ動いたか
きっかけは金融政策でした。
FRB(米連邦準備制度)のウォーシュ議長が「物価上昇のリスクは下がってきた」と述べ、2%の物価目標は守るとしながらも、これまでより警戒をゆるめる姿勢を示しました。
利上げが急がれないという安心感からリスクを取りやすい空気が広がり、ビットコインは6万ドルを回復して24時間で2〜3%上げました。
その背景には、原油価格が1バレル70ドルを割り込みガソリンが下がったことで、物価が落ち着くとの見方が広がったこともあります。
報道:CoinDesk
③ 米国株・日本株への影響
今回の震源は米国の金融政策で、最も直接響くのも米国です。
物価の上昇圧力が弱まると、利上げが遠のくとの見方が強まります。
金利が下がると、将来の利益をいま換算したときの価値が上がるため、成長期待の大きいハイテク株や、暗号資産に業績が連動する取引所・関連銘柄に資金が向かいやすくなります(将来の利益がより高く評価されるためです)。
日本への波及は、主に世界的なリスク選好の高まりを通じて表れます。
米国株が上がると、日本の株価指数で大きな割合を占める値がさのハイテク株や、暗号資産に絡む銘柄が連想で買われやすいという関係です。
ただし為替は、どちらに動くか読みにくいところです。
利上げ観測の後退はドル安・円高に傾きやすく、その場合は輸出企業には逆風となります(海外で稼いだお金を円に戻すと目減りするためです)。
④ 注意事項
この市場は明日決済の短い契約で、足元のビットコイン価格をなぞっているだけです。
株価を先読みする力があるわけではなく、同じ「物価への安心感」という一つの材料に、ビットコインも株も一緒に反応していると見るのが自然です。6月のビットコインは2割ほど下げており、今回の反発はその反動という面もあります。
議長の発言ひとつで動いた側面も大きく、来週以降に発表される6月の物価統計が予想より高ければ、この安心感は一気に巻き戻る可能性があります。
歴史的には、こうしてリスクを取りやすい空気が続く局面では成長株や暗号資産関連に資金が向かいやすいものですが、前提が崩れれば逆回転も速い点には注意が必要です。
2.2. その他の動向
「2026年にビットコインはどこまで下がるか」を問う市場で、下値ラインに届く確率が軒並み低下し、下落への不安が和らぎました。
次の利上げを見込む市場が68.5%から62.0%へ下がり、利上げ観測がやや後退しました。
ホルムズ海峡で単日の通航が大きく乱れると見込む確率が15.5%から2.5%へ下がり、正常化が進んでいます。
トランプ政権からの離脱者を当てる市場が43.5%から34.5%へ下がりました。
3. 注目の声
3.1. 生き残るのはどこか
予測市場がこれからも続くかを見極める3つの問いを挙げています。2年後の規制環境で生き残るのはどこか、カルシとポリマーケットが主導権を握った場合に得をするのは誰か、そして十分な取引量を保てる事業者は何社残るのか、という視点です。
今日のニュースでも触れたように、大手や取引所が続々と参入しています。数が増えるほど「どこが最後まで残るか」という問いは重くなります。投資の目線でも、話題性より事業の持続力を見ておきたいところです。
3.2. 商業化と公共性のせめぎ合い
予測市場を「世の中の確率を映す公共の道具」として重んじてきた人たちが、カルシやポリマーケットの商業的な成功によって、その本来の役割が薄れていくのを懸念していると伝えています。
便利さや利益が先に立つと、市場が示す確率の信頼性という土台が揺らぎかねません。急成長の裏で静かに続く議論として、押さえておきたい声です。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。また明日お届けします。
※本メールは予測市場のオッズや公開報道をもとにした情報提供であり、特定の銘柄・金融商品の売買を勧めるものではありません。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任で行ってください。





